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2008年9月 1日 (月)

旅行業界のベンチャー企業として

 旅行業界のベンチャー企業として1980年に発足したエイチ?アイ?エス(HIS)。格安航空券 と自由旅行という、気軽に楽しめる海外旅行の提案で大きく成長してきた。海外旅行市場の低迷や大手旅行社の個人旅行マーケット、 インターネット販売の強化により、同社を取り巻く競争は激化している。顧客視点の商品、サービス力の強化と、より収益性の高いビジネ スへのシフトが次の成長の切り札となる。(門倉千賀子)

 HISは今年7月、海外パッケージツアー商品「Ciao(チャオ)」のすべてのパンフレット料金表に、ジェット燃料市況の変動に合 わせて航空会社が徴収する燃油特別付加運賃(サーチャージ)を含めた“合計金額表示”を始めた。

 2月に一部の商品を対象に試みたところ「HISの旅行商品は高いという印象を与えるのではないか」という当初の懸念とは裏腹に「わ かりやすい」と好評だったことが、合計金額表示に踏み切った理由だ。

 燃油サーチャージは、航空会社に代わって旅行会社が旅行代金とは別に徴収するのがこれまでの常識。航空会社は3カ月ごとに燃油サー チャージを更新するため、更新後の代金と、あらかじめ支払われた旅行代金に含まれる額とに差額が生じた場合、同社が負担しなければな らないリスクを負う可能性がある。

 とはいえ、「いったい支払総額はいくらなのか」という不安を解消しなければ顧客の不信感はぬぐえない。営業戦略室室長の福島研(4 0)は、「判断基準はあくまでも顧客視点」なのだと言い切る。

正直な比較データ

 社長の平林朗(40)をトップとするHISの新体制は、今年4月にスタートしたばかりだが、これに併せ、激変する旅行業界の変化を いち早く吸い上げ、さらなる成長につなげるための組織改革を実施した。

 この改革の目玉となったのが、顧客満足度向上を目的に設置した「CS?ES管理本部」の傘下に発足させた「いい旅研究室」だ。

 室長の染谷明彦(39)は、「これまでの旅行会社本位の企画ではなく、多様化するニーズを反映した商品に転換していかなければ」と 語る。同室に所属する4人の役割は、安心、安全な旅行商品を提供するための品質管理はもちろん、旅行客のニーズを的確にとらえ、実際 に商品として応えていくことだ。

 俳優の中尾彬(66)とその妻で女優の池波志乃(53)を起用したテレビCM「いい旅研究室プロジェクト」では、「旅行代金の合計 金額表示」に加え、「ライバル他社商品の販売」「デメリットの表記」をアピールしている。実際、人気の高い渡航先であるイタリアツア ーでは、他社商品の販売比率は1割にもなるという。

 旅行商品のメリット、デメリットを的確に伝えるために徹底しているのが他社商品との比較作業だ。ツアーパンフレットや広告などを参 考に、食事やホテルの部屋、立地など、項目ごとの採点数表を作成。全社員が閲覧できるイントラネットに掲示し、店頭の担当者はそれを 見ながら顧客にアドバイスをする。

 イタリアツアーの比較表が完成したばかりだが、今後はトルコやスペイン、エジプトなどで同様のデータベースを作成する計画だ。

 HISの商品が他社商品よりも低い点数になることもあるが、これを顧客には隠さない。ツアー比較を通じて、「最終的には、自社のパ ッケージツアーの改善につなげられる」(染谷室長)からだ。

 旅行者にとって“いい旅”とは何か。旅行客からのアンケートの声も、重要な情報源だ。ホテル、食事、現地での体験…何を重視するか はそれぞれ。そこで年末までに、ホテルや現地での体験など、1項目に特化したツアー商品を『いい旅研究室』推奨旅行として商品化する 予定だ。HISが模索する“いい旅”の一つの答えがここで明らかになる。 格安航空券

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